DTMの花形とも言える、オーケストラ系音源の中でも「ストリングス音源」にしぼったレビューをしていきたいと思います。
どのサイトを見ても、オーケストラ音源ってAmazonとかリベートをもらえるものしか紹介されていないサイトばかりなのでつまらないですよね。
今回は、現行のストリングス音源をできるだけたくさん集めて、コスト別に紹介していきたいと思います。
ストリングスやブラスなどオーケストラ楽器全般が入っているマルチ音源は、下記にて特集しています。
プロは、ストリングス音源のココを見る
私が使っている音源とその理由
私が、昨年公開になった大作アニメ映画や、バイオハザードといったゲーム系サウンドで使っている音源を紹介したいと思います。
現在は”Hollywood Strings”をメインで使っています。
日本ではかなり使っている人が多いと思います。
これを使っている理由としては、オーケストラ音楽の打ち込みの肝となるのが、様々な”アタック感”の表現なのですが、この音源はレガートとスピッカートの組み合わせでどんな種類のアタックも表現できるのでお気に入りです。
”SPITFIRE SYMPHONIC STRINGS”もこれができそうなので、次回からはどちらも併用しながら映画・ゲーム音楽を作っていきたいと思います。
打ち込みでどこまで生サウンドに近づけるようになるか
アタック感
先述のように、プロの作曲家は、打ち込みの歳に必ず複数のアーティキュレーションの音を混ぜます。
例えば、レガートの音はスタッカートの音と同時に鳴らしてレガートでも強いアタック感を出せるようにします。
スタッカートの音量をエクスプレッションでコントロールしてほんの微妙なアタックの感じに差を出すんですね。
なので短い音は種類が多い方が良いです。
できれば、スタッカート、スピッカート、スタッカティッシモ、マルカートなど最低4種類はほしいところです。
アンサンブル感
オーケストラは、たくさんの楽器音を重ねてひとつの楽曲を生き物のように有機的に作り上げていくので、”指揮者”がそこにいるかのように統率の取れたサウンドを演出できるかが大きなポイントです。
大きなうねりを表現できるかということですね。
どんな生っぽい雰囲気の音源でも、全体的にチグハグに感じてしまったらオーケストラとしてはイマイチです。
これができるのは、やはりプロ仕様のかなり値段の張る音源になりますが、それだけの効果はあると思います。
それが自分にとって、”Hollywood Strings”と”SPITFIRE SYMPHONIC STRINGS”だったんです。
主なストリングス音源一覧
音源名 | メーカー | リリース |
Hollywood Strings | East West | |
SPITFIRE SYMPHONIC STRINGS | SPITFIRE AUDIO | 2016年11月 |
SPITFIRE CHAMBER STRINGS PROFESSIONAL | SPITFIRE AUDIO | 2018年4月 |
Cine Strings Core | Cine Samples | |
SYNCHRON STRINGS 1 | VIENNA | 2017年10月 |
VIENNA DIMENSION STRINGS 1 | VIENNA | 2012年9月 |
EPIC WORLD | BEST SERVICE | |
HALion 6 | Steinberg | |
LA Scoring Strings 2.5 | Audiobro | 2013年12月 |
Anthology Strings Instrument | 8dio | |
Cinematic Studio Strings | CINEMATIC STRINGS | |
HYPERION STRINGS ELEMENTS | SOUNDIRON | 2020年3月 |
HYPERION STRINGS MICRO | SOUNDIRON | 2020年3月 |
Berlin Strings | Orchestraltools | |
Orchestral Strings Runs | Orchestraltools | |
Solo and Ensemble Strings v1.1 | Samplemodeling | |
SYMPHONY SERIES – COLLECTION | Native Instruments | |
Spotlight Strings 4D | Kirk Hunter Studios | |
Angel Strings | AUDIO PLUGIN DEALS | |
VERTIGO STRINGS | Cinematique Instruments |
おすすめ音源 10万円以上
Los Angeles Scoring Strings
おすすめ度 | ★★★★★ |
値段 | 15万前後 |
容量 | 17G |
この音源のスゴさ |
映画の激しくアツい恐怖表現から、鮮やかなハリウッド的表現までバランスよく表現できる音源です。
大規模アンサンブル感はとても良いですね!ヴァイオリンセクションなら、ソロ、4人、8人と規模を調整することができます。
また、デモ音源を確認したところ、ppくらいの静かなニュアンスからffへと切り替わるダイナミクスも表現できているだけでなく、スラーやポルタメント感はゾクゾクするほどのクオリティなので、これ一台あればかなり幅広いオーケストラ表現が可能になるでしょう。
今回のバージョン2.5から搭載された、「Marcato」(マルカートパッチ)がリアルタイムでアタックのニュアンス調整ができるそうなので、生々しい演奏ができると期待しています。
また、管理ソフトの「ARC(オーディオリモートコントロール)」によって、全パッチのパラメーターを、まるでPAのように1つの画面で調整できるようになるので、利便性は飛びぬけて高くなっています。
その分価格もかなり高くなっているところが難点ではありますが、、、現在のところそれ以外に特に問題は見つかっていません。
デモ音源
価格をチェック
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Berlin Strings
おすすめ度 | ★★★★★ |
値段 | 10万前後 |
容量 | |
この音源のスゴさ |
これはもう、デモだけで聴けば質感だけで言えばトップクラスの完成度です。
流れるようなバイオリンはもう超一流のオーケストラですね。
デモを聴いたところ、衝撃的なワクワク感やドキドキ感が止まりませんでした。
ですが、、、ネット評価ではややバグが多いという記載が多く、修正パッチなどで修正が進んでいることを祈ります。
もうしばらく待って、将来的には絶対に手に入れたいと思える音源ですね。
デモ音源/価格をチェック
おすすめ音源 7万円以上
SPITFIRE SYMPHONIC STRINGS
デモ音源を聞いた時、あまりの衝撃が体を襲いました。
え!?本物のオーケストラ!?
指揮者がそこにいて、ステージにオーケストラ隊が演奏しているような感覚でした。
特にパートごとの音の混ざり具合は絶妙で、定位感も抜群です。
ポルタメント・スラーの死す間もすばらしく、ハリウッドの美しいサウンドを表現するには、これ以上の音源はないでしょう。
しかも、値段もそこまで高くないので、中級者以上の方でも十分手の届くくらいの価格です。
デモ音源
価格をチェック
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SPITFIRE CHAMBER STRINGS PROFESSIONAL
先程紹介しましたSpitfire audioの小規模編成アンサンブル音源です。
小規模編成の音源は数少ないので貴重ですね。
このくらいの規模なら、ポップスにも十分対応できるのがありがたいところです。
収録されている編成は、1st Violins(4人)、2nd Violins(3人)、Violas(3人)、Cellos(3人)、Basses(3人)となっています。
ロンドンの超一流のプレイヤー16人を収録しているだけあって、小規模ながらも打ち込み感はほとんど無く、流れるようなレガートがとてもすばらしかったです。
また、アーティキュレーションが244種類!?もあるので表現の幅も広く、、、まさにモンスター音源ですね。
小規模編成のオーケストラ音源なら、ダントツの最強と言って良いでしょう。
価格をチェック/デモ音源
SYNCHRON STRINGS 1
あの「VSL」で、初期DTM業界を震撼させたVIENNAが新しいストリングス音源をリリースしました。
広大な堆積を持つ「Synchron Stage Vienna」でレコーディングされた本作は、潤沢なアンビエンスを含んでいるので、映画音楽には合いそうです。
本作はレガートの滑らかさをウリにしているようですが、レガートはそこまで流れるような印象は無く、どちらかと言えばアツいスタッカートや強い演奏の方が良くできているように思います。
強いアタック感はめちゃめちゃカッコいいですね。
ですが、クオリティの高いストリングス音源がこれだけリリースされている中、ホール内でのアンサンブル感はやや統一感が少ないかな、、、という印象派ぬぐえず、値段設定はもう少し低めの方が、、、とも思います。
デモ音源/価格をチェック
おすすめ音源 5万円前後
オーケストラ音源は、正直、自分でも把握できないほどの数がリリースされており、みなさんもどれが良いか困ったことはあると思います。
今回は、数あるオーケストラ音源の中から、実際に触ってみてどこが良いか、何が良いかをレビューしていきたいと思います。
Cine Strings Core
ロサンゼルスのソニーピクチャーズスタジオの、MGMスコアリングステージで録音された音源です。
弦を返して弾くボウイングの雰囲気がとても良い感じで表現されています。
特に、弦を楽器に打ちつけるような強いアタックの表現は抜群で、荒々しい映画的な表現をするには最適だと思います。
全体的に表情豊かで鮮やかというサンプルではなかったので、無機質で重めの楽曲に合うような印象がありました。
職人気質的な、マニアックさがすばらしいですね。
価格をチェック
デモ音源
Hollywood Strings
現在、私がメインで使っている音源です。
モジュレーションの数値によって、波形が切り替わるようになっているところが特徴です。
低い数値なら弱く演奏された波形が読み込まれ、高い数値なら強く演奏された波形が読み込まれます。
なので同じロングトーンでも、だんだんと強く演奏していく様子を表現することができます。
スタッカート、スピッカートだけでなく、スタッカーティシモといった短く切る音でもたくさんの音が入っているので、多彩なアタックを表現できるところが魅力です。
ややアンビエンスが深めなのと、ポルタメント系のセクシーな表現がもう少しつくりやすかったら良いのに、、、というところ以外はほぼ完璧で、激しくアツいハリウッド系を中心に、オールマイティーにどんなジャンルでもこなせる表現の幅はとてもすばらしい音源です。
ややサンプルの読み込みに時間がかかるので、SSD推奨です。
また、弦楽器・管楽器・打楽器がひとつにバンドルされた「Hollywood Orchestra」もおすすめです。
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デモ音源
Cinematic Studio Strings
前作、大ヒットした「Cinematic Studio 2」がベースになっているので、それだけで期待値の高い音源です。
生の質感や、まるで指揮者がいるように演奏している統一感が絶妙にバランスの取れた音源です。
ハリウッド的な美しいレガートやポルタメント、ボウイングの返しの雰囲気は全音源中でトップクラスに入ると思います。
これはぜひデモサウンドを聞いてほしいですね!
ダークで重い表現はあまり得意ではないですが、鮮やかな楽曲や、スローなバラード的な楽曲ではかなりの実力を発揮してくれると思います。
Native Instruments KONTAKT 5でコントロールできるところがまた便利ですよね。
おすすめ音源 3万円前後
Anthology Strings Instrument for Kontakt VST-AU-AAX Samples
いろんなところで紹介されている音源なので楽しみにしていたのですが、、、この価格帯でこのクオリティなら十分ですね。
ストリングスの滑らかで美しい雰囲気も悪くないですし、音圧も問題なさそうです。
60000サンプル以上を使って編集しているだけはありますね!
マイクポジションも3つあるのでミックスやアンビエンス感の調整もしやすそうです。
もちろん「SPITFIRE SYMPHONIC STRINGS」「Hollywood Orchestra」に比べるとやや見劣りはしますが、もし予算が無ければこの音源も十分に視野に入れても良いと思います。
なかなか悩ませてくれる絶妙な価格設定ですね笑
デモ音源/価格をチェック
HALion Symphonic Orchestra
以前、Steinbergの弦楽器専用音源がリリースされていたのですが、現在は「HALion 6」の中に含まれて発売されています。
Cubaseを作ったメーカーなので、音源としての使いやすさは抜群に良いです
ですが、やはりプロ用音源と比較するとシンセ感は残りますが、とりあえずマルチ音源がほしい、そしてその中に比較的ちゃんとしたオーケストラ音源がほしいという方には、「HALion 6」は大活躍してくれると思います。
HALion6の中には、ストリングス以外にも、ピアノ・ブラス・シンセとたくさんの音源が入ったハイクオリティなマルチ音源です。
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おすすめ音源 1万円前後
HYPERION STRINGS ELEMENTS
ストリングス音源としては、最も安価な部類に入ります。
ですが値段の割りに、、、十分な壮大感を感じることができるので、なかなか良い仕事をしてくれそうです。
レガートの滑らかさやアタック感などは、さすがに5万以上の音源と比べるとかなり差は歴然としていますが、1万という値段なら十分アリだと思います。
学生で予算は無いけれども、壮大な音楽を作りたいと言う人にとっては良い選択となるかもしれません。
また、廉価版の「HYPERION STRINGS MICRO」はさらに値段が安くなっています。
初めてのストリングス音源を使ってみたい人は一度検討してみてくださいね。
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その他
EPIC WORLD
この音源は、他の音源のようにそれぞれの楽器で音が収録されているわけではありません。
「出会ったことのない世界」をリアルに再現するためにつくられた、幻想的なテクスチャ系の音源です。
ちょっとしたワンポイントや、不穏な響きを表現したい時、とてもよいパフォーマンスを発揮してくれます。
プロ用ストリングス音源に加え、これがひとつあれば、制作の幅は大きく広がってくれることは間違いありません。
まとめ
現在リリースされているストリングス音源をまとめてみました。
ここ5年ほどでの音源の進化はすさまじいことが良くわかりますね。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、ストリングス音源以外にも、楽器ごとのおすすめ音源をまとめてみました。
もしよかったらあわせてチェックしてみてくださいね。
また、音源すべてのリサーチ結果は下記となっています。
あなたにとって最適な音源を見つけてくださいね!